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ランチョンセミナー7《抄録》

9月26日(土) 第3会場(5階大ホールA) 12:20~13:10



共催:マイコロジーテクノ株式会社
座長:森下 竜一 (大阪大学大学院医学研究会臨床遺伝子治療学)

LS07-1
越後白雪茸(Basidiomycetes-X)の成分探索と美容、育毛分野への応用
○若命 浩二
北海道科学大学薬学部薬理分野

【目的】越後白雪茸(学名:Basidiomycetes-X)の含有成分、美容、育毛分野への機能性を明らかにする目的で成分網羅的探索と育毛に関するin vitro, in vivoの試験を検討した。
【方法】成分探索:LC/MS, LC-TOFMS, CE-TOFMS(アノテーションリスト1,200種類)を用いて、メタボローム網羅解析を実施した。in vitro試験:水溶性白雪茸エキスを用いて、エラスターゼ酵素に対する阻害活性、およびヒト繊維芽細胞に対するヒアルロン酸誘導活性を検討した。in vivo試験:C57/BLマウス(7W, ♀, n=8)の背部を剃毛し、白雪茸エキス0.3%(W/V)水溶液を12日間自由摂取、もしくは1%, 3%水溶液を連日皮膚に塗布し、育毛の度合いをスコア化した。
【結果及び考察】メタボローム網羅解析の結果、水溶性成分368種、脂溶性成分104種、合計472種の成分が検出された。その内訳としては、アミノ酸類、脂質、核酸関連物質、有機酸類、糖類、ポリフェノール類、ペプチド類などであり、LC/MS解析の結果、これまで白雪茸の新規成分として報告されてきたピロールアルカロイドもエキス中に480μg/g含有されていることが確認された。エラスターゼ酵素活性については、300~1,000(P<0.01)μg/mlで有為な阻害活性が確認された。同様にヒアルロン酸も50~150μg/mlにおいて有為な産生活性が確認された。また、マウス育毛試験については、経口投与、塗布のいずれにおいても育毛スコアにおいて有為な効果が見られた。
 これらの結果により、越後白雪茸にはピロールアルカロイドをはじめとするユニークな成分が多数含まれており、さらにエラスターゼ酵素阻害、ヒアルロン酸誘導活性により皮膚老化の防止や育毛効果などが発揮される可能性が示唆された。

LS07-2
越後白雪茸(Basidiomycetes-X)の脂肪肝改善作用と安全性
○米井 嘉一
同志社大学生命科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター

【目的】越後白雪茸(Basidiomycetes-X: BX)は1994年に新潟県魚沼地区で発見された希少な新種の食用茸である。今回、BX乾燥粉末の脂肪肝に対する有効性と安全性を検証するために層別無作為化二重盲検並行群間比較試験および安全性評価試験を施行した。
【方法】健康な男女114名を体格指数(BMI)、体脂肪率、コリンエステラーゼ(ChE)、トリグリセリド(TG)によるランキング付けを行い、上位48名(男性:24名、女性:24名)を被験者とし、BX-L群:BX乾燥粉末30mg配合食品、BX-N群:BX乾燥粉末300mg配合食品、BX-5群:BX乾燥粉末1,500mg配合食品、対象群:BXを含まない食品をそれぞれ6週間摂取する4群(各12名)に分けた。試験前、摂取6週間後、12週後に抗加齢QOL共通問診票、理学的検査、血液性化学検査を施行した。本試験は糖化ストレス研究会倫理審査の承認の元に施行した。
【結果】BX-N群では、ASTが摂取前(24.8±1.5U/L)に比較して摂取12週後(22.0±1.7U/L)で有為に減少(p=0.015)、LDHが摂取前(195.3±10.9U/L)に比較して摂取6週後(185.1±9.3U/L)、12週後(173.8±10.5U/L)で有為に減少した(p=0.007、p<0.001)。群間比較解析では、BX-N群ASTは対照群に比べて有為に改善した(p=0.031)。抗加齢QOL共通問診票スコアおよびγ-GTP、ALP、ChEには群間有為差は認められなかった。BX-5群においてもBXに起因する有害事象は認められなかった。
【結論】BXは食経験も豊富なキノコであり、高用量(常用量の5倍)摂取群においても安全性が確認された。BX乾燥粉末は脂肪肝による肝機能障害改善に対する機能性食品として期待できる。

《ランチョンセミナー7抄録:第20回日本抗加齢医学会/2020年9月》




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